親が亡くなった後のお墓の処分はどうするか

先祖代々の墓の維持について、悩んでいる人が多いと言います。少子高齢化、生涯未婚率の増加などで、お墓を守っていく人がいなくなり、いわゆる「無縁墓」が増えてきました。親が亡くなったら、お墓をどうすればいいのか、自分が亡くなった後のお墓をどうするかなど、今後のお墓の処分について、詳しくご説明いたします。

無縁墓とは

この数年、誰も管理していないお墓、いわゆる「無縁墓」が増えています。

お墓は本来、霊園などの土地を購入し、墓石を買って建立するものですが、それで終わりではありません。墓石を放置すれば劣化しますし、大きな地震が起きれば、傾いたり倒壊したりします。また、お墓の敷地に雑草が生えてくることもあります。

つまり、お墓にお参りするだけでなく、しっかり管理する子孫の存在が不可欠なのです。このような管理者がいなくなり、放置されたお墓が無縁墓です。
では、なぜ無縁墓が増加することになったのでしょか。その理由は、3つあると思います。

まず一つ目は、「少子高齢化社会」です。お墓の管理や継承は、基本的にお墓に埋葬されている親族が行います。しかし、少子高齢化によってお墓を継承する親族が少数になれば、継承が困難になります。
また子どもが一人いても、女性だった場合、結婚すれば、実家のお墓の管理まで手が回らなくなり、自然と無縁墓になってしまいます。子どもが3人、4人といた時代なら、その中からご先祖の墓を守る人がいましたが、子どもが一人しかいなければ、難しくなることは無理もありません。

二つ目は、「過疎化」です。お墓参りの時期は、年2回のお彼岸、お盆、年末年始の休みなどです。
しかし、子どもが都会に働きに出て、そこで家庭を持った場合、実家に帰ることがなかなか難しくなります。実家に帰ることが少なくなれば、お墓参りの習慣もなくなり、お墓に対する関心も薄れてきます。
そうなると、先祖代々のお墓を守ろう、管理しようという意識も低くなります。その結果、本来お墓を守るべき親族がいても、無縁墓になってしまうのです。

三つめは、「家制度」の崩壊です。以前に比べて「家を継ぐ」と言う意識が薄れてきたため、その象徴であるお墓を受け継ぐという考え方が希薄になってきています。ひと昔前は、一つの家に三世代同居することも珍しくありませんでしたが、最近では核家族化が進み、縦のつながりについての意識が薄れてきました。このことが、無縁墓を生む背景にあります。

墓じまいとは

無縁墓になる前に、自分たちの世代で、お墓を処分しようという、いわゆる「墓じまい」を考える人が増えてきています。

墓じまいとは、墓石を撤去して更地にし、敷地の管理者に敷地を返すことです。もちろん、お墓にはご先祖様のお骨が納められていますから、お骨をどこかに移動させる必要があります。なお、お骨を移動させる手続きについては、次の項目で詳しくご説明いたします。

以前でしたら、「先祖代々のお墓を自ら撤去するなんて、ご先祖様に申し訳ない」と否定する人がいましたが、最近ではそのような考え方は少なくなっています。

それは、家族を取り巻く環境が大きく変わったからです。昔は、大人数の家族で生まれ育ち、その地で一生を終えるということがごく一般的でしたが、今では、学校を卒業した後、実家を出て職に就き、結婚して親と別の所帯を持つことがスタンダードになりました。

このような状況ですから、このままではお墓を守ることができないという理由で、墓じまいをする人が増えてきたのです。また、家制度が形骸化したことで、墓じまいすることに抵抗がなくなりました。

なお、墓じまいを決断する人たちは、親が亡くなり自分の他に墓を守る子孫がいない人だけでなく、子どもがいても自分が亡くなった後に、お墓を守るという負担をかけたくないとする人にも広がっています。

改葬とは

墓じまいをした後は、埋葬されていたお骨を移動させる必要があります。例えば、最近注目されている「散骨」ですが、この方法では、専門業者に報酬を支払うだけで、その後は管理費などの負担は一切かからないというメリットがあります。

しかし、お骨がなくなるわけですから、心のよりどころを失い、お参りしたくてもできなくなるというデメリットもあります。そこで、公営の墓地や納骨堂などにお骨を移す「改葬」という方法を選択する人が増えてきました。ここからは、改葬の手順についてご説明します。

1 親戚の同意を得る

まず、親戚に墓じまい、改葬の同意を得なければなりません。この手続きを怠ると、後々「そんな話は聞いていない」と言われ、トラブルになります。特に、墓じまい、改葬には金銭的負担が発生しますので、親戚の各家に少しずつ負担をお願いすることになりますので、親戚の全世帯の同意は必須事項です。

2 墓地を管理しているお寺などに伝える

親戚の同意を得たら、お墓があるお寺や霊園に墓じまいをする旨を伝えます。特にお寺の場合、檀家から離脱することになりますから、高額の料金、いわば解約料に似た費用を請求される例があります。ただ、檀家を離れるか否かは自由なはずですから、応じる必要はあります。ただ、後に述べる墓じまいの際に、3万円程度のお布施は必要です。

3 改葬許可申請の手続きを行う

お骨を新たな霊園などに移す際には、無許可で行うことはできず、市区町村の許可が必要です。改葬許可書(市区町村役場で入手:必要事項を記入)、埋葬(納骨)証明書(現在のお寺などが発行)、受入証明書(受入先の管理者が発行)を市区町村役場に提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。この「改葬許可証」を受入先に提出します。手続きが難しい、あるいは時間がないなどの場合は、行政書士が代行してくれます。

4 墓じまいを行う

複数の石材店に墓じまいの見積もり額を出してもらい、納得のいった業者に依頼して、墓石を撤去してもらいます。その際、お寺の僧侶に立ち会ってもらい、お墓の魂抜きをしてもらいます。この時に、お布施を僧侶に納めます。敷地が更地になったら、僧侶に永代供養権を返却します。

5 お骨を移動する

お墓に埋葬されたお骨を新たな受入先である公営の墓地や納骨堂などに移します。ここでは、開眼供養をしてもらい、お布施を納めます。

まとめ

先祖代々残っている墓の維持について様々な方法や手段があります。もちろん管理し続けるという道もありますが、実際問題難しい状況の方も多くいらっしゃると思います。
生活や家計に大きな支障があるようであれば改めて考える必要もあるでしょう。
墓の維持について悩んでいる方の参考になる事を願っております。